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ツンデレ王子と腹黒王子

第9章 素直に


土曜日。

今日は朝妃といづみの授業参観だ。

小学校内を進み、まずはいづみの教室へと向かっていた。

まだ授業は始まっておらず、父兄がまだ廊下を行き交っている。

俺は少し憂鬱になりながらも、目的の場所へと歩を進めた。


「ちょっと、そこの君」


肩をとんとんとされ、振り向く。

すると数人の主婦が俺を取り囲んだ。

何事かと思い警戒する。


「ねぇねぇ、君お父さん?」


1人の主婦が少しにやにやしながら言う。


「いえ、兄ですが…」


俺がそう言ったとき、少し歓声があがった。


「やっぱりねぇ。随分若い子がいるなぁって思ってて、気になってたのよ」

「何歳なの?」


ただの世間話が好きな主婦か。

警戒して損した。

俺はほっと息をつく。


「えっと、17歳です」

「じゃあまだ高校生?」

「なのにこんなに美形なの?」

「ずるいわぁ、うちの夫もこんなんだったら自慢出来るんだけどねぇ」


口々に言う主婦たち。

長話になりそうだな。

だが俺は話を切り上げるような技術は持ち合わせていない。

だから黙って、バイトの時の様に聞き手にまわった。


「そういえば、貴方名前は?」

「三好です」

「え、三好?三好って、あの?」


どの三好だ。

と心の中でつっこむ。


「もしかして、三好朝妃ちゃんのお兄さん?」

「そうですが…知ってるんですか?」


主婦たちが感心したように頷いた。


「知ってるも何も、彼女有名人だからねぇ」
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