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ツンデレ王子と腹黒王子

第3章 ばれた


翌日の昼。

少し緊張しながら学校に行ったが、今の今まで野木隼人には話しかけられてない。

俺が考え過ぎていたのだろうか。

いつもの様に3人でご飯を食べているとき、遂に奴が動き出した。


「三好くん」


おそるおそる振り向くと、優しい目をした野木隼人がそこに立っていた。


「何…」


隣で、翔平と春樹が顔を見合わせている。


「ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど」


いつもなら、何で俺がって反論していたと思う。

現に今だって言いそうになった。

だがそれは、阻まれた。

奴の目が、昨日の様な、怪しい色を宿していたからだ。

俺は言葉を飲み込み、黙って奴の後ろについていった。





「これ、ここでいいのか?」


段ボールに入った大量の資料を資料室に運ぶ。

また、身構えて損した。

何なんだこいつは、何を考えてる?


「あぁ、ありがとう」


それに時々見せるこの笑顔は何なんだよ。

人前で見せる様な表情じゃない。

その控え目な笑顔。

多分これが、こいつの本当の顔。

俺は思わず目を逸らし、段ボールを置いた。


「おい」


背後から声が聞こえ振り向く。

いつの間にか真後ろに立っていて、俺は一歩退いた。

一体何を言うんだ。

今度こそ何か大変なことを…。


「明日、買い物に付き合え」

「………………は?」


唖然としている俺を他所に話を進める野木隼人。

と言うかまた身構えて損した。


「篠山って村があるだろ、そこにしか売ってないレアな物があるんだ。明日の朝、9時30分駅に来い。絶対な」

「え、明日って、土曜日…。無理だって!そんな急に…」


資料室を出ていこうとする野木隼人の後ろ姿に呼び掛ける。

すると顔だけをこちらに向けて、ニヤリと笑った。


「お前に拒否権何てねぇんだよ」


それだけを言い捨てて、資料室を出ていった。




本当に、まずい奴に目を付けられた。
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