第15章 森への足音
チユが笑うと、マルフォイはさらにむっとした顔になったが、それ以上は何も言わなかった。
3人と1匹は静かに森を進む。木々の間から月明かりが差し込み、落ち葉の上にぽつぽつと銀色の血の痕が続いている。
「……こんなに血が」
ネビルが不安げに呟く。ユニコーンの傷は相当深いのだろう。チユも胸の奥が締め付けられるような気持ちになった。
「さっさと見つけて帰ろう……こんなところ、長居するもんじゃない」
マルフォイが小さく呟く。その時だった。
ガサッ――
突然、茂みが揺れた。
ファングがびくっと飛び上がり、ネビルが「ひっ」と息を呑む。チユもとっさに杖を握りしめ、マルフォイは後ずさった。
「な、なんだ……?」
3人が固唾を飲んで見つめる中、葉の間から黒い影がゆっくりと姿を現した。
「……ただの鹿?」
チユが安堵の息をつきながら言うと、マルフォイも緊張が解けたのか短く息を吐いた。
「……驚かせやがって」
鹿は一瞬こちらを見た後、静かに森の奥へと消えていった。ファングが鼻を鳴らし、ネビルは膝に手をついてほっと息をつく。
「もう、心臓に悪い……」
「なんだ、結局怖いんじゃないか?」
マルフォイがニヤリとしながら言う。
「……怖くないし」
チユが小さく反論すると、マルフォイは満足そうに鼻で笑った。
森の奥へと進む道はさらに暗く、重苦しい空気が漂っている。チユはふと、マルフォイが横目でじっと自分を見ていることに気づいた。
「……なに?」
「お前、なんでパーティに来なかった?」
マルフォイは低い声で言った。
「え?」