第10章 ハロウィンの大惨事
リーマスからの手紙と、チユの得意な呪文学が最初の授業だったため、珍しくチユは上機嫌であった。
だが、機嫌が良いのはチユだけではなかった。
それもフリットウィック先生が「そろそろ物を飛ばす練習をしましょう」と言って、ネビルのヒキガエルをブンブンと飛び回らせたからだった。
皆、やってみたくて堪らず、爛々と目を輝かせている。
その後、先生は「2人1組で練習するように」と言い、ハリーはシェーマスと、なんとロンはグレンジャーと組み、チユはネビルと組むことになった。
チユとロンはお互いを恨めしそうに見つめ合い、ハリーも「ご愁傷様」と言いたげな表情を浮かべた。
「ビューン、ヒョイ、ですよ。呪文を正確に!」
フリットウィック先生は積み重ねた本の上に立ち、いつものようにキーキー声で指示を出す。
チユはその声を聞くや、ひらりと頬杖をつき、杖を振る。羽根は軽々と浮かび上がり、まるで彼女が最初からやりたかったことのように、無駄な力を加えることなくふわりと宙に浮かんだ。
チユにはあまりにも簡単すぎて、少し退屈であった。
一方、ハリーはシェーマスが杖で羽根を小突いて点火してしまった火を必死に帽子で消しているし、ロンも似たような惨めな状況に陥っていた。
「ネビルなら、もっとひどくなりそう…」チユは心の中で呆れてつぶやいた。
そのネビルが手元でしどろもどろに呪文を唱える様子を見たチユは、軽く息を吐いてから、優しく声をかけた。
「ネビル、杖はこうやって持つんだよ」
「…あ、ありがとう!」と、ネビルは目を輝かせて返事をした。チユはしっかりとその手を握り、ネビルが少しでも自信を持てるように支えてあげていた。
「ほら、もう一度やってみて」と、優しく促す。ネビルは真剣に頷き、「ウィンガディアム・レヴィオーサ!!」と、呪文を唱えた。しかし、羽根はびくともせず、その場で静止してしまった。
だが、彼は興奮して「少し浮いた!」と叫んだ。
あまりに嬉しそうな顔をして喜ぶので、動いていないとは言えず、チユは苦笑いを浮かべて「良かったね、ネビル」と言った。