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Sweet Love* Part2

第14章 *Happy Birthday 7/29*〜笠松幸男〜


「…遠野。」


「はい、なんですか?」


先輩の誕生日前日。
プレゼントは手作りにする事にした私は、黄瀬のアシストもあり順調に進み、後は仕上げだけ、という感じだった。

そんな中、昼休みに先輩に呼ばれて、今はグラウンドの隅。
どうやら、人に聞かれたく無い事があるみたいで。
フェンスに凭れてしゃがんで、二人で話をする事にした。


「その、ずっと気になってたんだけどさ、その手…どうしたんだ?」


そう言われ、自分の手を見る。
確かに、この一週間で、両手の指十本中、六本には絆創膏が巻かれるようになった。


「なんか、怪我とか…したのか?」


「あ、いや、なんていうか…」


先輩のプレゼントを作ってて、裁縫が苦手で怪我しました〜…とかは言えない。
まだ秘密にしてたいから。


「誰かに何かされたのか?」


「ち、違いますっ!自分でやっただけで…わざとでもないですよ?」


「…何をしたら、こんなになるんだよ。」


そう言って、私の手を取る先輩。
裁縫をしたからですよ、とか、私どんだけ裁縫苦手なの…。


「…不安にさせるなよ。」


「えっ…?」


その手の甲にキスを落とす先輩。
そして、次に指を絡められて、背中に手を回される。
ドキドキ聞こえるのが、自分のか先輩のか、全然分からなかった。


「俺…遠野が傷つくの、嫌なんだよ。誰よりも遠野を大切にしたいから…。だから、もっと俺を頼れよ。」


こんなに先輩が正直になるの、初めてかもしれない。
いや、正確には告白以来、初めて。
いつもなんだかんだで誤魔化されてたから、ここまでストレートに言われると、こっちまでドキドキする。

それが嬉しくて、先輩の手に、私からも指を絡めた。
グラウンドの隅、地面に伸びた二人の影が、そっと重なった。
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