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Sweet Love* Part2

第5章 *見た目よりも*〜黄瀬涼太〜


三ヶ月後、私達はお互いの委員会や部活、私の場合は校外学習の準備が忙しいのもあって、話す機会も減り、それに伴い会う機会さえ減った。

学年も違うから教室のある階も違うし、廊下ですれ違うなんて全くと言っていいほどなくて。


「…はぁ。」


一人ぼっちってわけじゃないのに、孤独な気がした。
涼太…会いたいよ…。

私の気持ちを表すように、ポツポツと降り出す雨。
いつの間にか外は曇っていて、教室内は暗かった。

にわか雨ではないらしく、ザー…という音が授業中もずっと続き、その音はまるでノイズのようだった。

放課後は、常備していた小さな折りたたみ傘をさして、一人で帰った。
ここ最近はこれが日課。
天気のせいもあってか、憂鬱になる。

前は涼太の傘に入った事もあったっけな。
涼太の傘は大きくて、二人分入ったよね。
二人で傘を持つ手が自然に触れてあったかかった。


「涼太、寒いよ…っ」


今すぐ来て、抱き締めて。
ダメだ、やっぱり私は欲張りのままだ。
こんな私じゃ、ダメかなぁ…


「ダメなわけ、ないじゃないっスか。」


背中に伝わる、濡れてても分かる温かい体温。
抱き締められる感覚。
会いたくて仕方がなかった涼太が、後ろにいた。


「今まで言わないでいたけど、不安にさせたなら言うっス。」


そう言って、一つ深呼吸をする涼太。


「俺、こう見えて緊張してるんスよ?抱き締めるのも、名前を呼ぶのも、一緒にいる時さえ、ずっと。だって、俺の大好きな彼女だから。」


今まで気付かなかった心臓の音が、背中越しに伝わる。
ああ…私、何で不安になってたんだろう。

涼太はこんなにも、私を愛してくれてるのに。

抱き締めるのは、顔が見られたくないから。
余裕そうな態度は、緊張を隠すため。
先輩と呼ぶのは、名前呼びが恥ずかしいから。

涼太は大人びているように見えて、私が思ってる以上に、まだまだ子供で。
それは、一人で不安になってた私も同じだ。


「涼太…愛してる。」


「俺もっスよ、香奈っち。」


雨の音に掻き消されて誰にも聞こえない声が、二人にだけ聞こえる。
体が離されて、目を閉じれば、涼太の温もりを感じれた。


*見た目よりも*

私の彼氏は、
見た目よりも恥ずかしがり屋で、
少し不器用でした。
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