• テキストサイズ

Sweet Love* Part2

第21章 *りんご飴*〜森山由孝〜


「美味しいですね…!」


「りんご飴、久しぶりに食べたかも。」


りんご飴を舐めながら、屋台を見て回る。
特に行く場所は決めてなかったけど、こうしてるだけで幸せだった。

と、特に屋台のない場所で、人集りができているのが見えた。
何だろう?と思った時。


「…げ。黄瀬かよ。」


森山君が、明らかに嫌そうな顔をしながら呟いた。

黄瀬君って、一年生のモデルの子だよね。
森山君と同じバスケ部だったはず、なんだけど…。

「げっ」とか、チームメイトに言っちゃっていいのかな。


「何でこのタイミングで黄瀬なんだよ…。」


「…森山君?」


黄瀬君がいたら、都合が悪いことでもあるんだろうか。
よく分からなくて、頭上にはてなを浮かべる。


「あー…。ごめん、香奈ちゃん。」


森山君はそれだけ言って、私の目を塞いだ。
後ろから抱きしめられてるみたいで、パニックしてしまう。


「あっ、あの、森山君…。はな、してください…。」


「ごめん、やだ。」


結局離してくれないみたいだし、何がしたいのか分からない。

私はすっかり混乱してしまって、思わずりんご飴を落としかけた。
それを何とか阻止して、持ち直した時。


「俺さぁ、香奈ちゃんとデートできて嬉しいんだよね。」


「えっ!?」


その言葉に、また落としそうになった。
今度こそ両手でしっかりと持って、話の続きを待つ。


「俺のこと好きなのかなぁって思ってさ。俺をデートに誘ってくれたの、香奈ちゃんが初めてだったし。もしかして、気のせい?」


「え、いや、あの、うーん…?えっ、と…」


森山君が期待してくれてる。
だから、そうだって言いたい。

でも、森山君が私のこと好きとは限らない。
だから、言えない。

矛盾した気持ちに挟まれて、意味不明なことを口走ってしまう。


「…まぁ、それは後でいいよ。でもさ、俺はそうなら嬉しいんだよね?だから、黄瀬のこと見てほしくないっつーか…。」


段々声が小さくなって、聞こえなくなる。
でも、その声は、耳元で囁かれたからか、ハッキリと聞こえた。


「…だから、俺だけ見て。」
/ 141ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp