第1章 始まり
大学からの帰り道、晩御飯の材料を調達するためスーパーへ向かっていた。
その日は最寄りのスーパーではなく、隣の駅近くのスーパーに行こうとしていた。
向かいからフードを深く被った小柄な男性が歩いてきて、すれ違った瞬間腹部から温かい液体が流れてきた。
え、刺された……?
私をナイフで刺したであろう男と目が合ったのを最後に人生が終わった。
目が覚めると、ベッドで寝ていた。でもここは病院ではない。
『ここ、どこ……?』
「あ、目覚めた?3時間目の体育でボールが頭にぶつかちゃったのよー?」
3時間目?体育?懐かしい単語が並べられ、走馬灯ってやつ?中学か高校の記憶かな……なんて思っていると、見覚えのある子がやってきた。
その子は私を見るなり
「さん!さっきはボール当てちゃってごめんなさいっす…」
と申し訳なさそうに、よかったらこれ……と冷えたお茶のペットボトルをくれた。
『え、黄瀬涼太…!?』
え、そうっすけど……と苦笑いされた。
『あの、この学校の名前って何ですか……?』
「え?帝光中学校だけど……」
帝光中学校に黄瀬涼太、ここは間違いない…… 黒子のバスケの世界線だ……
前世の記憶はある。大方、刺されたあと死んでしまったのだろう。それで黒バスの世界に転生?したと思われる。
黒子のバスケは高校生のときアニメで一度観たきりであまり内容は覚えていない。キャラクター達に近づいてみたいと思いつつ、変に原作の内容を変えない方が良いんだろうとも思う。
『せっかく生まれ変わったんだし、イケメンな彼氏ゲットしちゃおーー!』
そう心に誓い2度目の人生を謳歌することを決意した。