攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐
第3章 ウソと人魚の心を手放した代償
影山は月島くんの言葉にバツが悪そうな顔になり、山口くんが苦笑気味に口を開いた
「大体格好でバレちゃうんじゃないかな
青城の制服を持ってるとかなら話は別だけど」
……青葉城西の制服……
一か八か頭に浮かんだことを口にしてみる
『私の友達で青葉城西に通ってる子がいるんだけど…その子演劇部なんだ』
『すごく気があって、よく似た者同士だって言われてきた…』
突然の私の言葉に四人は押し黙っていたけどしばらくして何かを察したようだった
演劇部の衣装に制服あるんじゃないかな
それを貸してもらえたら
『制服用意出来るかもしれない!』
日向と影山の顔がパァァと輝いて、月島くんは額を抑えている
山口くんの顔は青ざめている
「お前…よくやった!」
「おぉーし!偵察ー!」
『早速連絡するぞー!』
日向と廊下を飛び出してハイタッチを繰り返す
影山にもしてやろうと振り返ると、月島くんと影山が何やら話してる
影山の顔は背を向けていて見えないけど、月島くんの顔は見える
真剣な面持ちで話してて内容がなんなのか気になった
怒ってる、訳じゃなくてもっと大事なことを話してるような…
話を終えた影山もなんだか引き締まった顔をしていた
私が声をかけるとただ何も言わず私を見つめていた
その子は玲奈と言って
午後の授業の間に事情を送って連絡していた
玲奈によると
〈みんな制服もってるのに制服の衣装なんてないよ〉
と返された、そう言われればそうだ
落胆しそうになったとき下のメッセが目に留まる
〈でも、そう言えば くるみと同じような人達がいる〉
なんと男子バスケ部の人達が烏野の偵察に行きたがってるという
だからその人たちと交換すればいいのでは、という話だった
話は玲奈を通して上手く纏まって
私達は体育着、バスケ部の人達は制服を貸してくれることになった
偶然にも人数が一致して、学校まで来てくれたバスケ部の人達とその場で交換し合う
それから青城の制服に着替えて
現在私達は青葉城西の生徒として紛れている
『なんか学校の地図みたいのが校内にあるんじゃないかな、うちの学校みたいに!』
三人で頷きあって校内へと踏み出す