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攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐

第1章 幼馴染みは森の中で姫を見つけた







『はい!チョコレート!
足りなかったら遠慮なく言ってね』

「え、あ、ありがとう??」

それにしても板チョコってこんなに重いのか
ビニール袋にぎゅうぎゅうに詰め込んだチョコを一つ日向に渡しながら思う
朝練のうちにみんなに渡せるかなー


『あ、月島くんと山口くんにもドーゾ!』

「え、チョコ?今日バレンタインだっけ?」

山口くんが首を捻らせている隣で、月島くんもピンときてないみたい
え、だって、、

『違うよ、なにかの勝負事の前にチョコ食べたらぜっったい勝てるの』

「え?」

『え?だって昨日月島くんが…え?』

すると月島くんの大きい肩が震え出す
抑えきれなくなった笑い声を聞いてる内に顔が熱くなっていくのが分かった

『もしかして嘘なの?!月島くん嘘付いたの?!』

「ちょっと止めてよ、人聞き悪い
僕はただ、カツ丼食べても勝てるわけ無いって言っただけ
まさか話が拗れてチョコに変わるなんて思わなかったけど…」

月島くんは口元を釣り上げて小馬鹿にしたような目線を私に向ける
ここ最近月島くんに揶揄われてばかりだ…

「それすごい数だよね、何枚あるの?」

山口くんが私の持ってるビニール袋を指さしながら言う



『……50』

なんか…一瞬時が止まる…

「え、50って…うちのバレー部そんなにいなくない?」

『あ、いや…だから…沢山食べたほうがきくかもって…思って…』

「ほんっとあり得ない思考してるよね、どうしたらそんなガセネタ本気にできるわけ」

「…なんか くるみちゃんってカワイイけどズレてるよね」

道理で三年の先輩方が困惑してた訳だ
…せっかく皆が勝てるならって
朝からコンビニ回って買い占めたのに…



「でも、そういうところがカワイイんじゃない?」

月島くんはとっくに笑うのを止めて、いつも通りの表情で言う

『…早速揶揄いにくる…』

「別に揶揄ってないけど?」

『この前も昨日も同じこと言ってたけどね!』

「本音ほど伝わらないってどういうわけ」


月島くんは軽く息を吐いて、ビニ袋に手を突っ込み一枚チョコを取る

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