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つよがり いいわけ かわいい子【HQ】

第1章 つよがり いいわけ かわいい子


「っ、でも友達の期間も長かったから、抱けないでしょ?若い子に比べてもうすぐ30のくたびれ始めた体なんだから。夜久だって若くてメリハリのある体の方がいいんじゃないの。スポーツ選手なんて可愛い子よりどりみどりだし、ロシアにも可愛い子いっぱい」
「口閉じろ。」

照れ隠しの早口を静止する、夜久にしてはいつもより強い言葉に肩を跳ねさせると、せっかく好意を抱いてくれている夜久の気持ちを考えない発言をしてしまった唇を紡ぐ。
失望させてしまったか、出て行けと言われてもまだ電車はあるしいざとなったらタクシーも…なんて考えを巡らせていれば硬く結んだ唇に柔らかな感触。驚きで目を見開けば悪戯が成功したような、そんな笑顔が向けられていた。

「自分のこと悪く言わねえの。夏乃は出会った時からずっと可愛いし、俺はそんな夏乃がずっと好き。」

昔の、仲間としての可愛らしい顔を思い出せないくらい、柔らかくて暖かくて、私が好きって顔してる。それが苦しくて正面の夜久の顔が見れない。

「それに抱けるか抱けないかって言ったら余裕で抱けるし抱きたい。」

肘置きに置かれた夜久の腕が私を閉じ込める。ソファに深く座ってしまったからこれ以上前にも後ろにも逃げることができない。

「……夜久が告白してくれないから、他の人に抱かれちゃったよ。」

また出た。夜久の腕の中での私の強がり。振られても予防線を張りたい素直じゃない心。そんな私の言葉に夜久は眉間に皺を寄せて小さく唸る。

「んん、それは正直もったいねえ。でも、これから上書きするからまあいいや。」

肘置きから手を離しぐんと体を伸ばす。
そしてこちらを見る瞳が私に問いかける。

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