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思いつき短編たち

第1章 月夜の悪戯の魔法-シャンクス@海賊



フラフラと歩く港町のはずれ。
手元の瓶酒をぐいと煽り、サンダルを擦って歩く。

「...ぁっ」
調子外れな鼻歌の合間の声に、ゴクリ、と喉元を過ぎる酒が音を成す。
「...っ...」
ん〜、と考えて、口元から垂れた酒を袖でぐいと拭う。
空になった酒瓶をポイ、と放ると、いくつかの気配に歩み寄る。

「っハッあっ...あっ」
明らかな喘ぎと肌がぶつかる音。
覗き見の趣味はこれっぽっちもないが、何故か足が向き、ヒョイ、と街角から顔を出す。
フラフラと宙に揺れて夜闇に浮かんでいたのは、真っ赤なヒールを履いた真っ白な脚。その間で荒い鼻息を繰り返している背中と細い腕を押さえつける影の帽子に鴎。
『正義』を振りかざす者が何をしているのか、と呆れた息を吐き、数秒前の自分を後悔する。
同意の可能性もあるし、と踵を返す。

「...て...おね、がいっ...」
涙を孕んだ声に、ガシガシと赤い髪を搔く。
「うるせぇよ」「まだいけんだろっ」
「ああっ!んんっゃ」
涙声にも聞こえる喘ぎに、まったく、と腰に据えたサーベルを抜く。

レンガ張りに押し倒された体に乗りかかっている白い制服の首筋へと突き立てる。

ゆっくりと倒れていく体を横っ腹から蹴り倒す。

唖然として固まっている男の首も刎ねた。

ドクドクと血を流しながら、見たくもない下半身を晒して倒れ込む男達の胸の勲章を千切り取る。
(偽物?)
抜き身の剣先で、ひょいと上着の裾をめくる。
腰に剣も銃もない。
(なりすましか)
ペラペラの上着を剣先で割く。
ピッ、と振って血を払ったサーベルを鞘に戻すと、道端に踞って倒れる影に歩み寄る。

「大丈夫か?」
そう言いながら、大丈夫なわけ無いか、と手を伸ばすと、首を振って手を翳す。
「わかった、触らない。その、酷い目に遭ったな」
擦り傷と打撲痕だらけの裸体に触れぬよう、自身の羽織を掛ける。
彼女の衣服がないかと辺りを見回すと、路端にクシャクシャになったスリップが泥だらけであった。
あれを着せるには、とほかを見ると、少し手前に赤いヒールの片割れ。
その隣に引き裂かれた女物の下着。

やりたい放題だな、と溜息をつくと、荒れていた息が整った彼女が、鼻先で笑った。

「で、ココでする?ほかに連れて行ってくれるなら、先にお水を一杯、もらっていいかしら?」

気怠げに銀髪を掻き揚げる姿を月明かりが照らした。
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