第2章 割の悪いアルバイト
こっちが支払った…
本日のデート代からは
ここの宿泊費用は賄えない…。
「あの…港斗さん…、このお部屋って…」
その客室の中は…
大きなクイーンのベッドが1台ある
ダブルルームだったので…。
『言ってませんでしったけ?巴さん。
僕は…巴さんと…一緒に、
恋人同士で…、トワイライトクルーズ
したいって、話しましたよね?』
「でも…それは…、あの時に……
私は…その…、
いい歳した…おばさんだし…ッ。
港斗さんには…、釣り合わないって…」
『でも…、何でもない様な…。
どうでもいい相手と…
普通こんなデートを
したいって思う男は居ませんよ?
確かにママ活としては…、
成り立ちませんけど。
僕は…そのつもりじゃなかったので。
……ネタバレは…この辺にして置いて…
これ、飲みませんか?巴さん』
自分の意図をネタバレしたからなのか、
満面の笑顔でこっちを部屋の中へと
玄関の所から引き入れて。
ソファの前のテーブルの上にある。
ワインを飲もうと…促して来る。
「あの…、思うのですが……
何かの記念日とか…誕生日とか…に
する感じ…じゃないですか?
こんなデートって」
『え?今日って
記念にはなりませんかね?
だって…今日は…僕と、巴さんが
付き合い始めた記念日でしょ?』
「勝手に記念日認定しないで下さいよッ…」
港斗に対して思わず、
巴がそう声を荒れげると
まぁまぁと落ち着く様に言われてしまって。
港斗がワインのコルクを抜くと、
赤い…ワインで満たしたグラスを。
こちらに差し出して来る。
『だったら、巴さん…。
今日を…僕と貴方の
記念日に…して貰っても?』
彼の手にある…
赤ワインで満たされたグラスを、
何も言わないままで、
巴は自分の手に取った。
もう、…敵わないと思ったからだ。
彼には…、年齢がとか…言っても。
それが通じるとは思わないし…。
気が付いたら…もう…、
こっちも…彼を男性として…
好きに…なってしまって居たから。