第6章 １１月の出来事

『今は、熱は大丈夫そう
な感じ…ですか？巴さん』

「うーん、熱い感じはするけど…」

夕飯の後にもう一回
体温を測定してみたら、
熱は３８．６℃で。

病院で貰った、喉のお薬と。
発熱時の頓服のカロナールを飲んで。

もう１５時にシャワーは、
済ませていたので。

歯磨きだけして、リビングの
脚付きのマットレスの上に
もそもそと上がって
ゴロンと巴が横になると。

キッチンから片付けを終えた
港斗君が私が横になっている、
脚付きマットレスの傍らに
移動して来て。

よしよしと私の頭を
彼の手が撫でて来る。

『巴さん、どうですか？
熱いですか？寒いですか？
寒いなら、もう一枚、
シングルですけど毛布あるんで、
上に、足しますよ？
ここに…いつでも飲めるように
ペットボトルのお茶置いときますから。
熱かったら、毛布…足元にでも
蹴り飛ばして貰ったらいいんで…』

そうこっちに優しい口調で
話しかけながら、こっちの頭を
よしよしと片手でずっと撫でて居て。

反対の手で、こっちの身体に
掛けていた布団をキチンと
肩まで隠す様に掛けられてしまった。

布団の上からトントンと…
その手で叩かれてしまう。

「もしかしなくても、私を
寝かしつけようとしてるの？」

『風邪でも、インフルでも
沢山食べて、沢山寝るのが一番ですよ。
今なら…おやすみなさいのちゅーも
オプションで、サービスしてますけど？
どうですか？お客様。
オプションの方、無料ですが…。
如何なさいますでしょうか？』

「……キス…しても…、
本当に、大丈夫…なの？」

自分がインフルなのに…、
大丈夫と言われても…彼に
うつらないのかって心配になって。

巴が…
そう…、確認する様に
港斗に…恐る恐る尋ねてみる。