第5章 ぼんミイラ男目線
なんで俺たち、セット売りされていたのだろうか。
おかげで俺はほぼ毎日、ドズルバンパイアの吸血相手にされていた。店主も店主で、面倒が省けたみたいな目でドズルバンパイアの行動を止めなかった。
まぁ痛くはないんだけどさ。
どうせならさ? 可愛い女の子に噛まれたかったじゃん? なんでよりによってドズルバンパイアなんだ。女の子だったらよかったのに。
なーんて思っていたある日、店に珍しく可愛い人間の女の子が入ってきたんだよな。いつもここに来るのはちょっと怖そうな人間たちだったのに。
その女の子が真っ先に俺達のいるカゴに近付いてきて、飼いますって言って。俺はここで初めて、セット売りされててよかったって思った。どうせ俺なんて、一人で売られていたら誰も飼わなかっただろうし。
俺たちの新しい飼い主となったその可愛い女の子は、ハナちゃんといった。ハナちゃんはやたら俺に世話を焼いてくれた。
まず、ドズルバンパイアが噛みついてくるのを止めたところだな。俺ももうすっかり慣れていたから気にもしていなかったのだが、最初ドズルバンパイアの吸血行動を見た時はハナちゃんも結構びっくりしてて。
それからは度々とドズルバンパイアの吸血行動を出来るだけ止めるようにしてくれていた。ハナちゃんいわく、シツケというものらしいが、まぁ人間の言葉を全て分かる必要もないから俺はカゴの中でダラダラと過ごしているだけだった。