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こちら、MOB飼育係ver.ハロウィン[dzl]

第4章 ドズルバンパイア目線


 本当のところを言うと、僕は人間たちの言葉をもうほとんど理解している。
 店主が僕たちの面倒を嫌がっていたことも、接客をする度に僕たちを何度も勧めたりする理由も、簡単に察することが出来ていた。
 今日もまたお客さんに何度も僕たちを勧めているんだろうなと店主と女性のやり取りを眺めていたら、飼いますなんて言ってきたから僕はびっくりした。本当に? と聞いてみたくても、こちらの言葉は人間には通じないみたいだし。
 そうして僕たちは、ハナと名乗った人間に飼われることとなった。
 ハナの家に来ると、まずは僕を持ち上げてお風呂に連れて行かれた。僕は最初何をされるのか分からなくて、ハナに服を脱がされた時はびっくりして逃げたことがあった。僕は店主に売られる時、バンパイアっぽい服を着せられていたのだ。ハナがすぐに追いかけて来て僕は呆気なく捕まったんだけど。
 どうにかこちらと会話を試みようと思ったんだけど、どうしてもハナとは話が通じ合わず……。そうこうしている内にハナは僕に服を着せなくなった。
 だから僕はいつも半裸に赤いパンツだけだった。部屋の中も自由に歩き回ることが許されたからこっそり外に出てやろうと思ったら、うっかりしていた。外は昼だった。
「ちょっと、何してるのよ?」
 そこにぼんさんが包帯を散らかしながら近付いてきたから、間もなくハナに見つかって僕は飼育カゴに戻された。ぼんさんは僕が勝手に外に出ようとしたことを笑いながら何やってるのよと言ってきたが、それを言いたいのは僕の方なので吸血ついでにぼんさんを叩いたら、それすらもハナにまた目撃されてしまった。
「わ、大丈夫?」
 ハナはそうやってぼんさんの方を持ち上げた。ぼんさんは高みの見物といった感じで僕を見下ろしてきたが、ミイラ男が傷つかない生き物だと分かったハナは、次に僕のことを持ち上げてどこかに連れて行った。
 なんだろうとハナの様子を伺っていると、台所に行って刃物を取り出したからぎょっとした。もしかして、僕の命ここまで……?
 確か店主はハナに、魔女雪だるまが僕たちを復活させてくれると説明をしていた。それは本当のことだけれど、まさか試しにやりましたとかないよね……?
 ハナが僕のことを手放したタイミングを見計らって台所から逃げ出した。何も考えずに飛び降りたので落下ダメージが痛かったが、そんなことより死ぬのが怖かった。
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