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こちら、MOB飼育係ver.ハロウィン[dzl]

第8章 MENオオカミ男目線


 俺たちはひょんなことから、ハナという人間に飼われている手乗りMOBだ。
 といっても俺は知っていた。手乗りMOBは牛やガーディアンのことを言ったりするのであって、ドズルさんみたいなバンパイアや、ぼんさんみたいなミイラ男をMOBと呼ばれているという訳ではないということを。
 そして俺は無情にも、夜以外は小さくてか弱な白いオオカミだ。この前ハナに連れて来られて会った手乗りネコより小さいことを知って俺は本当に衝撃を受けた。
 しかし俺の本気は夜からだ。
 ハナに何度「シャトーブリアンをくれ」と言っても通じないので俺は半分諦めていたのだが、ある日ぼんさんが翻訳機の話をしていて思いついたことがあった。
 俺が、MOB語翻訳機を作ればいいのだ、と。
 そうなると話は早い。ハナが寝静まった後に勝手に飼育カゴの鍵を開けると、夜更かししがちなぼんさんが呼び止めた。
「どこ行くのよ?」
「翻訳機の材料探しっすよ」
「え、ほんとに作るの?」
 翻訳機の話を振った本人が驚いてどうする。あ、それとも、一緒に材料探ししたいのか?
「今から行きます? 材料探し」
「嫌だよ、一人で行ってきな」
「じゃあぼんさんの翻訳機だけなしにしときますね」
「えっ、翻訳機一人一個なの?!」
 ハハハッ、冗談ですよと笑って俺は飼育カゴから脱走した。ぼんさんはやはりついて来ず、カゴの中でゴロゴロしたり包帯を巻いたりしていた。
 さて、と。
 夜の時間は限られている。俺がこうして自由に動けるのもそう長くはないので、必要そうな材料を探そう、と歩き出せば。
「ちょっと待ってMEN」
 と言って飼育カゴから出てきたのはドズルさんだった。飼育カゴの日傘にばかりいたドズルさんも、夜になると機敏だ。
「僕も探すよ、材料探し」
「お、いいんすか」
「同じ夜仲間なんだし」
「ハッハッハッ、なんか変な意味になりません?」
「変じゃない変じゃない」とドズルさんは言った。「そんなことより探そうよ、材料探し」
 話は逸らされた気もするが、ここで立ち話をするのも時間がもったいない。俺はドズルさんに同意を示した。
「そうっすね」
「何探したらいい?」
「じゃあ……」
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