第9章 私の知ってる直哉くん②※

直哉は掴んでいるななの手に足を止めた。




「……機嫌が治ったら許すとか……
そんな話じゃないでしょう？」

相変わらずその顔は、涙で濡れている。




「……はぁなな……。」

直哉はため息を吐くと、ひょいとななを抱き上げた。

「っ！直哉くん！」



簡単にななを運んで、ベットに寝かせると、上からななを見下ろした。




「何が気に入れへんねん。」

「……なんでそんな事も分からないの？」

ギュッとななの顔が顰められる。




「別に千春ちゃんがおったからって、今までとなんも変わらへんし…。」




『ななを愛人として側に置くとか？』

悟の言葉が頭に響いた。




「変わるよ……嫌だよ…そんなの。」

直哉が自分以外の女の人に触れる。

そんな事を黙認する事なんて出来ない。




「ならどないするん？別れるんか？」