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俺、ピグリン王になったみたいです

第5章 集められた兵と共に


 再び玉座の間に戻ると、そこには数名のピグリンが金斧やクロスボウを片手に跪いていた。
 数えたところ十人。隣にいる護衛ピグリンを含めると十一人になるのだが、怪我をしているから行かないのだろう。
「じゃあ行こうか」
「はい」
 俺の声に真っ先に答えたのはあの護衛ピグリン。俺は足を止めた。
「え……腕怪我してるでしょ」
「これくらい、痒いものですよ」護衛ピグリンはケロリと答える。「私も連れて行って下さい、おんりー王」
 真っ直ぐ見つめる護衛ピグリン。俺は彼の言葉を否定することは出来なかった。
「うーん、そこまで言うなら……」
「ありがとうございます」
 と兵の列に並ぼうとしたので、ちょっと待ってと俺は護衛ピグリンを引き止めた。
「名前はなんていうの?」
「名前、ですか?」
 なんせピグリンの見た目はパッと見同じなので見分けがつかない。ここまでよくしてくれたのだからと名前を聞こうとしたら、意外な答えが返ってきた。
「名前はピグリンです。こちらも、あちらも、皆ピグリンなんですが……」
「ああ、そういう……」
 どうやらピグリンの世界には、固有名詞というものはないようだ。じゃあ、と俺は思いついたままの言葉を口にした。
「ゴエイくんって呼んでもいい?」
「私の名前……ですか?」
 ネーミングセンスはないだろうが、まぁ他のピグリンと見分けがつけばなんでもいいと思った。
「そう、ゴエイくん」
「分かりました。今から私は、ゴエイクンになります」
 今ここに笑い担当がいたら笑われていただろうが、メンバーは今はいない。ゴエイくんはいたって真面目に返事をし、兵隊の列へと加わった。
「えーっと、じゃあまず……外はどっち?」
「こちらです、王」
 もう見分けがつかなくなってしまったが、恐らくゴエイくんが率先して案内をしてくれた。
 俺は十一人のピグリンを引き連れて城を後にした。
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