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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第1章 𝔸𝕗𝕣𝕚𝕔𝕒𝕟 𝕔𝕠𝕣𝕟 𝕝𝕚𝕝𝕪

















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________〚初恋は実らない〛_____







誰もが一度は耳にしたことがあるであろうこの言葉
私はこの言葉が酷く嫌いだった


そんなの分からないのに
なんで決めつけるのだろうか


実らないと分かっていて恋した訳じゃない
「初恋だから」と言い訳するために恋した訳じゃない










中学一年生の冬、12/24日
その日はクリスマスイブだった


粉っぽい乾いた小麦粉のような雪が口の中に入り溶けていく
今年はホワイトクリスマスだなぁ

と内心の喜びを隠せずニヤケ面で彼がいつもいるであろう部屋へ向かう


本当は仕事の応接部屋のようなもので
私みたいな平凡な中学生が気軽に入っては行けないところだ


でも今日は特別
コンコン、と2度ほどノックをしてみたが返事はない
ここへ来る途中他の部屋ももぬけの殻だった

やはり何かと行事がある日はヒーロー活動が活発になるのだろうか
いつもならサイドキックさんの一人や二人いてもおかしくないのに


私は遠慮なしにドアを押し中へと入る
相変わらずシンプルな家具達を一通り見回し、多分いいやつだと思われる革製のソファに腰掛ける

誰もいないのに端に座り、肩を小さくしてしまうのはこれから私がすることに緊張しているから


今にも溢れてしまいそうなこの想いを伝える事に


せっかく寒さで沈んだ熱が再び湧き上がってくる
果たしていいのだろうか
私と彼は年もそれなりに離れているし兄妹のようなものだ、というか私が兄のように慕っていた

自分の両手で顔を覆い隠し、不安定な気持ちと一緒に閉じ込める
もうずっと前から決めてたことじゃないか

この関係性がどんな方向に変わろうが私は伝えたい



決意を示すように顔を前にした時、耳が足音を探知した
コツコツ、と急ぎ足でこの部屋に向かってきてるのが分かる
別にやましいことをしていた訳じゃないのに私は肩を跳ねらせ、ドアから一番遠い社長机の下に姿を隠すように潜り込む

煩い心臓を黙らせるように一息ついた時ドアが風を通した







その日は12/24日、クリスマスイブ



私と彼が出逢って三年目になる日だった




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