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【ONEPIECE】ハートに副船長(仮)がいるってよ。

第1章 放浪者





「お、お疲れさまでした!」


「お疲れ~。後は、よろしく」


 オペ室から出ては、病院の出口を目指していた。

 負傷者は、臓器に損傷が見られたため、処置に時間がかかってしまったけど、命に別状はなかった。やはり、大きい島ともなると、処置するのに必要な道具も揃っているから安心して手術に専念できる。


「あ、"フィオ"様ですか?」



 受付の方が、ボクの名を呼んだ。呼ばれる筋合いもなければ、名前を教えた覚えもない。


「お連れ様より、伝言を預かっています」


 ………そうきたか、方向音痴め。ふざけやがって。


「ありがとう、助かったよ」


 受付の人に言い残して外へと出ては、ため息を吐いた。

 …さて、これからどうしようか。迷子を捜すのは困難だし、捜し出す理由はない。勝手に問題を起こされて、巻き込まれるのがオチだ。そんなの、こっちから願い下げ。

 そうなれば、だ。目的の達成に向けて、動くしかない。………実際、そろそろ会えそうな気もするんだよね。そう思えたのは、ルフィと出会ったからなのだろうけど。


「あ、フィオ!ちょっと!!!」


 聞こえてきたのは、ナミの声。何処か焦っている声色を発した彼女は、『早く掴まって!』と手を出してきた為、その手を掴んだ。


 ………あ、



「やったよ、ボク…」



 自分で面倒事に今度は足を突っ込んだかもしれない。そんな気がする。いや、絶対そうだ。


「ケイミーが、攫われたの!」


「………で?」


「『………で?』ですって!?」


「"人類売買リスト"見たことある?」


「…何よ、それ」


「そのまんまの意味。種族によっても、金額が変わってくるけど、人魚族は他の種族より最低額が大きい。…つまり、目玉商品ってところ。そんな焦らなくても、すぐにオークションにかけられることもない。目玉は何かのハプニングがあったときに吹き飛ばす用か、本当に最後に持ってきて最高額で取引するかの二択のはず」


「……なんで、そんなこと知ってるのよ」


「海賊だって、自分の首に懸賞をつけられる。それと似たようなものでしょ。………まぁ、ボクからしたら、本日二回目の胸糞悪い案件だけど」


「え、島に着いてから何やってたのよ」


「迷子の散歩」


 そう伝えると、『なんか、ごめん』と謝られた。いや、本当だわ。

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