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one-of-a-kind【aknk】

第2章 それは請い願った帰り花



私の、主担当執事をベリアンからハウレスに変えてもらって暫くが経った。
最初は少し慣れなかった部分もあったけれど、ハウレスは本当に私によくしてくれるし、ルカスも何かあれば都度報告や相談をしに来てくれる。心配するようなことは何もなかったのだというように、あまりにも穏やかに時は流れた。

今はハウレスは皆の稽古を付けているから、私は一人部屋でのんびりと過ごしている。こういう時は自分で紅茶を淹れるのだ。元々、あちらの世界では全て一人でやっているのだからその程度どうということもない。ただ、ベリアンが淹れてくれていたものに比べると、香りも味もぼんやりとしたり、少しだけえぐみが出たりした。
ふう、とひと息付いたところで遠慮がちに扉がノックされる。誰だろうと思いつつ、どうぞと声を掛ければその扉を開いたのはルカスだった。

「こんにちは、主様。ご機嫌いかがですか?」

「いらっしゃい、ルカス。ゆっくりさせてもらってるよ。」

ルカスは、それは良かったと、いつもの笑顔でその琥珀色の瞳を細めて見せた。ハウレスが丁度いない時間にわざわざ訪ねてきたと言うことは、きっとベリアンの事なのだろうなと思った通り、皆のレッスンの進み具合とベリアンの様子を教えてくれた。

「まぁ、そんな感じで概ね順調に進んでるよ。ベリアンとは、話はしたのかな?」

「うん、今朝の朝食に行く時に会ったから、少しだけ話したよ。いつも通りって感じだったかな。」

そうかと一言、考え込んでしまったルカスに、何かあったのかと心配になり彼を見る。

「いや、あまりにも順調というか……ベリアンがあれだけ嫌がったから、レッスンはかなり厳しくなると思ったけれど、至って普通なんだよね。」

「えっと……それって、悪いことなの?」

「そういうわけでは無いけれど、なんというか……不自然な気がしてね。」

そう言うルカスは少しだけ神妙な面持ちで考え込んだ。

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