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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第1章 純情恋物語編







旅は道連れ、世は情け


この世は大平、花より団子





今日も平和なこの町を


すました顔で歩いていく





昔の苦い思い出も


忘れ難き淡い想いも


町の喧騒が賑やかに掻き消していく





此処は、華のお江戸の八百八町


義理と人情が大好きな、粋で鯔背なスットコドッコイが集う町





強情で跳ねっ返り者の宿屋の女将と


いい加減でお人好しな遊び人が


肩を寄せ合い、暮らす町で御座います








雅吉「おぉーい!にの江ぇ!」


にの江「おや、お前さん。こんなトコで何してやがんだぃ?」


雅吉「いや、それがな、面白れぇ話を聞いてよ!今からちょっくら紀州まで行ってくらぁ!」


にの江「はぁっ!?何言ってるんだぃ、この馬鹿はっ!!」


雅吉「はっはっはっはっ!わりぃなぁ、にの江!

お智ちゃんも、祝言に顔出せなくて申し訳ねぇ!

翔の字によろしくなっ!」


お智「は、はい?」


にの江「よろしくじゃないだろ!」


雅吉「そんな訳でしばらく留守にするぜぃ!にの江!」


にの江「何がそんな訳だぃっ!馬鹿言うんじゃないよっ!(怒)」








さて


まだまだ事件が起きそうな、そんな予感も致しますが


このお話は此処までで御座います





またお会い致します時まで


コレにて、御免仕ります








にの江「こらっ!雅吉っ!!ちょいとお待ちったらっ!!」


雅吉「じゃあな、にの江!愛してるぜぃっ!!」


にの江「愛してるぜぃじゃぁなぃよ!この、スットコドッコイっ(怒)」







──おしまい──




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