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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第4章 禅寺人斬り騒動編


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にの江「まあ、細かい事は良いから(笑)

で、若様は書状を届けて下さるようかい?」



まさか

侑李ちゃんが食べられると言った野草を、恋太郎ちゃんが生で(洗いもせずに)口に放り込んだとは言えなかった(笑)あたしが

我が子がはっぱを食べたなんて聞いて、旦那そっちのけ(笑)で心配そうな顔をするお智ちゃんに、そう言って話を逸らすと


お智ちゃんは真面目な顔をして頷き答えた



お智「ええ、快く引き受けて下さいました

早速明日にでも先方様に届けて下さるそうです」

にの江「そうかぃ、そりゃあ良かった」

お智「……侑李ちゃんは、やはり……お母様のご実家の、百姓家にお預けになるおつもりですか?」

にの江「……ああ、それが……母親の望みだったから、ね……」


侑李「…………」



あたしとお智ちゃんが話すのを、熱心に聞いていた侑李ちゃんが

不安げな顔をして、黙ったままあたしの袂を引っ張った



にの江「ん?……何だい?」

侑李「…………ゆうりは、どこに、いくの?

ははさまは、どこにいったの…?///」



少しは自分の置かれている状況を把握しているのか、不安そうにそう訊ねる侑李ちゃん

あたしは、そんな侑李ちゃんの手を取ってしゃがんだ




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