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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第1章 純情恋物語編






お智「しょ、翔吾さん……あの、お手を…////」


翔吾「あぃ?……Σだぁはっ!!ごごごご免なさいよぅっ!!!///」



ついついお智ちゃんの手に見惚れて、握り締めてしまったもんだから

お智ちゃんは可愛いお顔を真っ赤にして困った顔をしていた


慌て手を離して謝ると、お智ちゃんは恥ずかしそうに俯いて言った



お智「ぃ、いぇ……そんなに謝らなくても……ちょっと、繕い難かっただけですから////」


翔吾「いえ、本当に……申し訳ない////」


お智「……もぅ、済みますから////」



(あぁ~っ!なんってぇ可愛らしいヒトだろぅ////)



私は溜め息をつきながら、器用なお智ちゃんの手を見詰めた



お智「………はぃ、おしまぃです///」



にっこり笑って顔を上げるお智ちゃん

やたらめったらムラムラするのを誤魔化す様に、私は懐から薬を取り出した



翔吾「はぃ、今日の分です……で、どぅです?お父上の具合は?」


お智「えぇ、お陰様で、だいぶ良くなったの///」


翔吾「そうですか、そりゃあよ………」



(よ、よよっ………良くなぃじゃなぃかぃっ!!////)



お智ちゃんのお父上の病気が治ったら、お智ちゃんと逢う口実がなくなっちまぅっ!!!(←笑)



お智「本当に翔吾さんには感謝しております…

…何とお礼を申せばよいのか…

…私には、何も恩を返すようなものが御座いませんのに…///」


翔吾「はぁ……そうですね……恩……

…………おん?」


お智「……?」



ガックリ(撫で)肩を落としていた私は、ハタとあることを思い付いた



翔吾「……恩着せがましいコトを申し上げてもよろしいですか?///」


お智「はぃ?」



可愛く小首を傾げるお智ちゃんの綺麗な手をもう一度握って、私は言った



翔吾「薬のお代は、一銭だって頂くつもりは御座いません…

…ただ、その代わりと言うか…

…お父上のご病気が良くなって、薬が必要無くなっても…

……また、こうしてあたしと逢ってやってはくれませんか?///」




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