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🍆だけが襲われる世界で

第5章 やっぱり俺だけ襲われる世界?


 スケルタに引かれるまま村の奥へと進むと、その先は水辺になっていて砂や粘土や砂利がいたるところに広がっていた。
 恐らく某ゲームの通りなら、砂利から取れる火打ち石から「火打ち石打ち金」を作っても生肉は焼けない。焼けるどころか焦げて消失してしまう。
 どうも常識からややズレているらしいスケルタになんて説明しているか考えている内に、砂利から火打ち石が浮かび上がる。スケルタはその間に持っていた生肉を食べ終えていたが、また新しい生肉を手にしていて、さぁ焼こう焼こうと俺を呼んだ。
「あのね、スケルタ……」
 俺が火打ち石を片手に説明しようと近づいた時、次なるトラブルが突発的に起きた。
 ざっぱぁ!!
 俺の後ろから大きな音と水飛沫。
 振り向けば鮭が飛び上がって俺に向かって突進。声にならない声を上げながら俺は転び、水に足を取られたところを大量の鮭が襲いかかってきた。
「ぼん、大丈夫?!」
 スケルタは大急ぎで俺の手を引いて陸に上がらせてくれたが鮭の突進攻撃は止まず、走れ走れと叫んでスケルタに肩を抱えられながら俺たちは走った。
 やはりここは、俺だけが襲われる世界だ。
 スケルタに鮭が突進している様子はないし、俺だけが痛い。それともスケルタはMOBだから鮭の攻撃対象ではないんだろうか? いやいや、そもそも鮭は元から攻撃してこないのよ!
 ざぱぁあ!!
 目の前から水飛沫が上がって俺は瞬間的に絶望した。走っていた先に池があったらしい。そこから鮭が飛び出してきたのだ。
「うわぁああああ!!」
 思わず悲鳴を上げた。もう無理だと思った。スケルタは俺の声に驚いたのか立ち止まってしまったし、死ぬしかない。そう思った矢先だった。
「ぼん、下がってて!」
「えっ」
 スケルタに乱暴に押し飛ばされ、俺は地面を転がった。まさか、スケルタは一人で鮭に立ち向かうのだろうか。
 俺の前に立つスケルタは今まさに鮭の突進を受けようとしていた。直後、スケルタは低い姿勢を取って地面を片手で叩いた。
 ドォオオオオン……!
 爆音と共に土埃が目の前に広がった。
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