第5章 あの人と出会ってしまった
五条くんと訳ありの恋人になってから一ヶ月が経った。
任務で負った骨折もすっかり治り、反転術式には感謝してもしきれない。
制限も無く任務に復帰し、学業に任務とお互い忙しい日々が続いていた。
「2回目のデートしようぜ」
五条くんのそんな言葉を皮切りに、せっかくの何も予定のない土曜日なのにデートに連れ出された。
誘われた時に何回も断ったのだけれど、行き先があの時と同じ水族館だったから行くことにした。
あの時は閉館時間ギリギリでゆっくり観られなかったから…。
午前中から出かければ、もっと色々な生き物をじっくり観察できると思ったから。
それ以外の理由はない…はず。
「おはよう、寧々。今日も可愛いな…いや、うん、マジで可愛いな。私服すげぇ似合ってる」
寮の入り口で待ち合わせた五条くんは、右手で口元を押さえながら私をチラチラと見た。
「それはどうも。時間でしょ、早く行きましょ」
「おっ!そんなに乗り気なの?嬉しいねぇ」
「違う、バスに乗り遅れたくないだけ」