第8章 違う人と任務
「全力で取り返しにくるような奴だよ、あいつは」
「なんだなんだ!?俺の悪口は許さねーぞ!」
自己愛強めの五条くんがまたやんやと騒ぎ立てて、それを夏油くんがやんわりと諭す。
「安心しな悟、事実だよ。ふふ、やっぱり譲らなければ良かったかな」
夏油くんはこちらに戻ってきた五条くんと、なまちゃんの隣にいる私を交互に見た。
「惜しいことをしたよ」
夏油くんはクスッと笑った。
まるで何かを払拭するみたいに、弾みを付けるために、わざと微笑んだようにも感じる。
だからといって追及したりはしないけど、夏油くんは五条くんと違って分かりにくい。
……五条くんが馬鹿みたいに分かりやすい性格なのもあるかもしれないけど。
「さて、今回の勝負はなまちゃんの負けな訳だが」
「うぅ…ぼく、こうさん」
なまちゃんは頭を振ってしょげた様子。
「降参…というのは、降伏ということかい?」
「こうふく…?」
夏油くんの問いかけに、なまちゃんはクエスチョンマークを頭にいっぱい浮かべた。
「降伏というのは負けを認めるということなんだ」
「うん、ぼくのまけ。すぐるおにいちゃんのかち!」