第7章 夏休みといえば
「完璧ではないと思うのだけれど」
将来の妻なんて言い切るのは相当ね。
こんな私が五条家当主の奥方なんて務まるわけないでしょ。
私が五条くんと関係を続けるのは、復讐を果たすまで。
それまで利用させてもらうだけで……。
私なんかよりも…よっぽど、相応しい方は他にいると思う…ねぇ、そうでしょう?
「約束な!」
「勝手に決めないでよ」
「なに?脱がされたいの?寧々」
「そんなわけないでしょう。大体ね…」
五条くんは「屁理屈なんか聞かねーよ」と私の話をぶった斬った。
「脱がされたくなければ、自分で脱いで俺の部屋に持ってこいよ。期限は昼までな」
2択にもならない条件…や、約束?を言い残して、先に部屋に戻ってしまった。
夜が明けてすぐ、早朝の日が昇り始めた頃に、使用した浴衣セット一式を五条くんの部屋の前に置いた。
おそらく本人は寝ているだろうし、携帯でお礼と共に連絡だけいれた。
返信があったのが朝から昼になる時間だったから、やっぱり寝ていたみたい。
『素敵な浴衣と楽しい思い出をありがとう』
『部屋に来たところを襲うつもりだったのに、早朝に来てんじゃねーよ』
うん、やっぱり早朝に届けて正解。
夏休みも後半、まだ「楽しい思い出」は増えるのかしらね…?