第6章 クッキーとゼリー
私も任務に向かう為の身支度を始める。
1人になった部屋は、いつもと変わらないはずなのに広く寂しく感じた。
ベッドの乱れを直した時に、自分が寝ていたところの隣にも体温のような温かさを感じた。
一晩中、一緒だったんだな。
それでも、もっと一緒にいたいと思えるほど、私は…五条くんを…。
「あ、電話」
ディスプレイには五条くんの文字。
「寧々?歌姫脅して一緒にご飯行こうとしたけどダメだった。女子会だからお前は来んなってさ。だから俺のことは気にせ「分かった」
これ以上一緒にいたら…五条くんのことをもっと…。
「よし、切り替えなくちゃ」
電話を切った後からメールの通知が鳴り止まない。
送り主はディスプレイを見なくても分かる。
「行ってきます」
歌姫先輩にご迷惑をかけないように早めに寮を出る。
その歌姫先輩とは寮の入り口で一緒になった。
補助監督の人が運転する車に乗り込んで、任務へと向かう。
私達が乗った車とは別に、何度も電話をかけて焦った様子の補助監督の車もあった。
あれはきっと、五条くんが遅刻しているのね……。
携帯の鳴り止まない通知をチラッと見る。
『メールを送り続けてないで、早く出発しなさい』
釘を刺したから、たぶん大丈夫でしょう。
さぁ、任務、頑張らなくちゃね。