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TNTになった俺と傷つかない少女

第3章 TNTになった俺と傷つかない少女3


「え、会いに行けるの?」
「ミウが会いたいと思うならな」
「会いたい!」
 ミウからの言葉は即答だった。この状況、もしかしたら彼女の両親は……という最悪なことは今は考えないでおく。きっと、両親はミウを探しているはずだ。そうじゃないと俺が困る。
 とはいえ、ここからどうやって脱出したらいいものか。散々脱出ゲームをしたものだが、ミウを逃がしたくない博士がいるのなら、きっとそう簡単には出られないだろう。
 それに、俺がいつ爆発するかも分からない。なぜ爆発したのかあまりよく分かっていないが、分かったことと言えば、多少のことではこのガラス張りの部屋は壊れないということだった。爆発しても壊れないのなら、相当の強化ガラスだ。
 俺たちがいるガラス部屋は、天井は金属のようなもので蓋をされていて、床には外から操作出来るようなパネルらしきものがずらりと並んでいる。きっとあれのどこかを操作すれば脱出は出来そうだが、部屋の中にいる俺たちには無理だ。
 ふとミウの方を見やると、手元にたくさんのタンポポの燃えカスがあった。そういえば、俺が目を覚ました時にもタンポポを持っていたな……。
「それ、どこから出したんだ?」
「え?」
「タンポポ」
「あ、それはね〜」
 そう言いながら、ミウはガラスに額を押し付けた。何をしてるのかとガラスの向こうを見れば、奥にはタンポポが群がって咲いているのが見えた。
 この場所、明らかに変な点はそこだ。
 このガラス張りの部屋はいかにも近未来にあるような研究所のカプセルってところなのだが、ガラスの向こうは深い森かのように草木が生い茂っている。
 てっきりそういうホログラム的な何かと思っていたのだが、ミウが次にしたことに、その推測は一気に崩れた。
「おいで〜、タンポポちゃん!」
「え?」
 ミウが見つめていた先にあったタンポポの一部が、まるで見えない誰かが草刈りをしたかのようにちぎれ、ふわふわと空中を浮いたのである。
「そういう能力か……?」
 と俺が一人呟いている中、ミウは当たり前のように視線だけでタンポポをこちらに寄せた。その間タンポポはずっと空中を浮いている。
「開けて〜」
 とミウが天井に向かって言えば、ガコンと大きな音を立ててゆっくりと動いていく。そして、そこから開いたわずかな隙間に、ハラハラとタンポポが入ってきて部屋の中に落ちてきた。
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