第30章 子供は私だけで育てると決めた日(凪・凛・カイザー)【中編】
糸師凛
「そうか…愚弟の馬鹿が悪かった」
そう言って目の前では凛ちゃんのお兄さんである冴さんが頭を下げていた。昨日凛ちゃんの家から出ていき、実家に戻れば直ぐに冴さんが来てどうやら凛ちゃんから事情を聞いたらしい。凄く申し訳なさそうな表情をしていて、私はなんとなく気まずかったが『冴さんが謝ることは無いですよ』と言って頭を上げさせようとすれば冴さんは眉間に皺を寄せながら溜息をついた。
「養育費は凛からきちんと払わせる。後日、凛を連れて両親と一緒に謝罪しに来る」
『そんな…別に良いですよ。養育費も必要ないですし』
と私が言えば冴さんは更に申し訳なさそうな顔をする。
「そういう訳にはいかねぇだろ…。認知だけってにはいかねぇ」
そう冴さんは言いながら先程から鳴っているスマホを見て険しい表情に変わった。そしてスマホを操作してから、また私に謝罪してから私の両親にも謝罪していた。暫くして数十分後、家のインターホンが鳴ったので来客かと思い玄関を開ければそこには凛ちゃんが立っていた。
『りん、ちゃん…』
「やっと来たか愚弟」
すると背後から歩いてきた冴さんが前に出ると凛ちゃんを殴り飛ばした。