第29章 子供は私だけで育てると決めた日(潔・千切・玲王)【中編】
千切豹馬
薄いお腹を撫でながら歩き、夜の人混みを歩いていると肩をポンッと誰かに叩かれた。驚いて後ろを振り向けばそこにはひょーまの友達である國神さんの姿。
『く、國神さん!?』
「こんな時間に1人でどうしたんだ?危ねぇぞ、千切はどうした?」
心配そうに尋ねてくる彼に私は顔を顰めてから目線を逸らした。するとそれだけで彼は何かを察したのだろう。
「もしかして、千切と喧嘩した?」
『いえ、別れただけです』
「別れたって…。もし🌸さんが大丈夫なら話を聞いてもいいか?」
その言葉に私は小さく頷いて、近くのファミレスに入ると國神さんにひょーまの事を話した。すると國神さんは大きな大きな溜息をついてから眉間を揉む。
「あのお嬢…。もう言わねぇよう頑張るって言葉どうしたんだよ」
『え?』
「お嬢、🌸さんと喧嘩する度に『別れる』って言っちまうって後悔してたんだよ。🌸さんがすげぇ傷付いた顔するからって。だから言わねぇよう頑張るって言ってたんだよ。はぁぁ…」
ヤレヤレと言わんばかりに國神さんはまた溜息をつぎながらも私を見て苦笑を浮かべる。
「まぁ、今回そうなったのは千切が悪いな。🌸さんはもうアイツと仲直りするつもりはねぇの?」
『無いです。どうせまた直ぐに別れるって言うだろうし…』
「言わねぇ。言わない」
『え…』
横からひょーまの声がしたと思えば泣きそうな顔をした彼が立っていた。