第5章 投影
遠回しにジャブを決めあっていると名前が
シオンに何かを合図した。
そして直ぐに
ポンッ
という破裂音が聞こえ、咄嗟に身構える俺と
降谷君を他所に、名前は笑った。
名前「2人はすぐに言い争うけど、結局似てるからだと思うんだよ」
安室「何を馬鹿な…」
沖矢「…」
執事は俺と降谷君にグラスに注いだ飲み物を渡した。
受け取りはするが、こういうものは基本的に飲まない。
俺も降谷君もそう思っていると名前は
受け取ったグラスの中身を2人に分けて移し、
2人のグラスより低い位置で空になった
自分のグラスを俺らに向けた。
意図を受け取った俺と降谷君は名前のグラスに
中身を半分くらい注いで、飲み物に口をつけた。
名前「…グラスをぶつけ合うのは、中身を
混ぜる為だったんだ。其れを現代では常識的に
タブーとしている。だから疑われるんだろう?
なら混ぜて仕舞えば良い。」
安室「…中世じゃないんだ、こんな事しなくたって…」
名前「何でも良いよ。2人が飲んでくれればそれで。」
沖矢「ただ貴方が注いでくだされば良いものを…」
名前「シオンを良くない言い方するのはやめて貰おうか。」
沖矢「いえ、そうではなくて。貴方が注いでくださる
ものなら飲んでいたと言っているだけですよ。
お気を悪くさせたならすみません」
執事に目を向けて謝るとその執事は目を丸くして
直ぐに横に首を振ったが、その後は平然としていた。
名前は執事の態度を満足気に眺めて口元を緩ませていた。
ーー…なるほど…俺と降谷君の言い合いをこういう形で黙らせたのか…ーー