第2章 見返りのない…
わたしは魂が抜けたようになってしまったが、やらなくてはいけないことはたくさん、ある。
日々の仕事を必死にやった。
そうこうしている間にも戦況は激化していき、
戦士の顔にも疲弊と諦めの色が浮かび始めた。
変わらず、表情も姿勢も崩さない大公は、
真っ直ぐ前を見ていた。
ふと視線があったような気がした。
視線が合うとまるで、2人の間に真っ直ぐ繋がりができたかのように、動けなかった。
2人の間に生じたものは"絆"だった。
紛れもなく。
私は必死に記憶の中で大公を探したが、どこにも見当たらない。
でも、この懐かしさは、なんだろうか。
この、ずっと探していたものを、見つけたという喜びはなんだろうか。
私は胸元のペンダントをギュッと握りしめながら、
広場を後にした。