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お人好しは何かと巻き込まれる【R18】

第6章 人狼族との出会い(前編)


ルシアリアが担がれて連れて来られたのは
オキメ村から割りと近い崖沿いで
人狼族はそこに居を構えていた。

人間の領域とそれ程遠くないのに
建物は竹が使われていたり
行き交う人狼族はアジアの民俗衣装の
ようにカラフルな布を巻き付けており
全く違う文化がそこに存在していた。

人狼族は人型が主だが、耳や尻尾が
出ている者も多く狼の姿も者もいた。


口を開くと舌を噛みそうだし、
暴れると2メートル近くある高さから
振り落とされるのではと
文句も言えずつれられてきた。

集落に帰ってきたリヒター達を
見るとみんな気軽に声を掛けてくる。

「おいおい、今度は誰を引っ掛けて
きたんだよ」

「おまえも本当に隅に置けないな」

「人間じゃないの?」

「人間、食べるの?」

そんな言葉にルシアリアが
青褪めていると

「食べねぇよ!嫁!やっと
見つけたんだ!」

その返事に即座にルシアリアは
ブンブンと頭を振る。

「なんだ!振られてやんの!」

「違げぇよ!照れてるだけだっての!」

ルシアリアが否定しても構わず
わいわい騒ぎながら
集落の中を進んでいく。

みんなに慕われているんだなと
リヒターの人望がわかってくる。
人の町と変わらない様子になんだか
安心を覚える。

連れて来られたのは集落の一番奥で
他の建物より少し大きく豪華な
建物が二つ並んであった。
入口には門番らしき人もいたが
止められる事もなく家の中に入る。

「腹減っただろ?人狼族の飯も
人間とそう変わらないから食ってみろ」

案内してくれたのは
ダイニングルームで
ちょうど夕飯の時間らしく
すぐに料理が並べられる。
肉料理が主に何皿か大皿に乗せてあり
他は果物なども皿に積み上げられている。
食卓についたのはルシアリアと
リヒターとレクトの3人だけだ。
両親は隣にあるもう一つの建物の方に
別に住んでいるそうだ。

「さぁ、遠慮なく食ってくれ」

「あの、私…」

「ほら!これなんかうまいぞ」

言い掛けて口を開けたところに
肉団子を放り込まれる。
口いっぱいになりとりあえず
噛んで飲み込む。

「…あの」

「どうだ?うまいか?」

「……美味しいです」

「そうだろ、そうだろ!ほらこれも!」

次々と口に放り込まれて口を挟む
間も与えてもらえないルシアリアだった。
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