第4章 in ボード(白鳥じゃないよ)
智くんは湖面の水をすくっては零し、すくっては零して、ずっと湖水を見つめていた
そうしながら、静かに、ポツリポツリと話を続けた
智「…僕が松岡さんに出逢ったとき…松岡さんには既に奥さんがいたんだ…
…だけど、僕らは恋に堕ちてしまった…
…松岡さんは、僕を傍に置いて置くために、部屋を用意して…其処に僕を住まわして…
…本当は、そんな…囲われ者みたいな生活、したくは無かったんだけど…
…松岡さんが、奥さんと別れるまでの辛抱だからって言って…
…でも、なかなか別れてくれなくて…
…奥さんに、ずっと…僕のコト言わないで隠してたって知ったのは…
…松岡さんが、奥さんにバレたから別れてくれって言った時だった…
…その時にね…
…ああ、僕…
…僕は、始めから…ただの愛人だったんだなぁって…
………そう、思った」
湖面を見つめている智くんの瞳が、湖水の僅かな光を、キラキラと反射していた