第2章 人生初の……
人生初のラーメンを食べようと箸を取り出すと、これまた伽那夛の知らない形状だった。
箸にしてはやたらと扁平、言うなれば揃えられた箸というのがしっくりくる形だ。
そして周りの客を見るとこれを2本使っている訳ではないことが分かった。
「……この箸、くっついてるわ」
「割り箸、知らねぇの?」
「し、知ってるわよ!……名前くらいは」
小さく付け足された言葉に甚爾は思わず吹き出した。
「それは知らねぇのと同じだろ」
「むぅ……!」
「半分に割るんだよ。切れ込み入ってんだろ?」
言われてみれば確かにちょうど半分あたりのところに切れ込みがある。
それに沿って力を入れると、
ポキッ
「あっ」
綺麗に縦に半分には割れず、片方だけ中程で折れてしまった。
一方は極端に短く、もう一方は上半分が幅広となり、なんとも不恰好。
そして何より食べにくそうだ。
この割り箸は諦め、新しいのを取り出して再挑戦する。
しかし、またも左右違う長さになってしまった。しかも割れ目もデコボコ。
周囲を見ても伽那夛のように悪戦苦闘している人はいないし、それこそ自分より年下の子供ですら器用に割っているのに。
なんだか悔しくて次の割り箸を取る。
「ぐぬぬ……」
「割るの下手くそ過ぎ。なんで縦に割るもんを横に真っ二つにへし折ってんだよ」
既に食べ始めていた甚爾が隣で奮闘する伽那夛を鼻で笑った。