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特級錬金術師の旦那様

第8章 依頼


この町【キューニア】の周りには、貴重な薬草が多々収穫出来るそうで、錬金術師を始め薬師が多い町だと教えてくれた。その護衛として、腕利きの冒険者も滞在しているそうだ。

あのお胸がたわわなお姉さんたちは、そこそこ有名な薬師だそうで錬金術師同様Fランクから始まり、二人は揃ってCランクらしい。あんな容姿をしているから、薬師として繁盛している。

まぁ、その大半のお客さんはあのたわわな部分を見に行っているそうだ。貴族の令嬢の中にも、お胸を誇張する人たちはいたので見慣れている私。

「ミア、ハグ。」

両手を広げてウエルカム状態のマーフィス。あんなことがあったからか、先日の娼館のオーナーと出会った後状態となった。

「えっ、今?ちょっと、今は無理。」
「何やってんだ?」
「見ての通り、鍋の中を掻き混ぜてる。」

マーフィスが鍋の中を覗き込む。

「これは?」
「プリン作ってる。」
「プリンって何?匂いからして、甘味なのか?」
「うん。さて、そろそろかな。」

容器にプリン液を流し込み、その後でカラメルを投入。後は冷やすだけだ。ウキウキしながら鍋を洗っていると、視線を感じて振り返った。

壁に寄り掛かっては、微笑ましそうに私を見ているマーフィス。使った鍋を洗い終えると、今度は私が両手を広げた。マーフィスはその意味を理解したのか足早に近付いて来ては、私をハグした。

「ミア、甘いいい匂いがする。」
「プリンの匂いだろうね。後で一緒に食べようね。」

甘い空間の中、唇が触れようとした時に玄関から人の声が聞こえてきた。直ぐに出向かえるのかと思ったけれど、今、私たちはキス中。

戸惑う私に、マーフィスは来客のことは気にしていない様子。マーフィスが気にしないのなら、私も気にしないことにした。

だが、来客の方は気になった様だ。力づくでドアを叩き、奇声を上げている。でも、マーフィスは通常運転。私もマーフィスに抱き付いたまま。

が、ピタッとマーフィスの動きが止まった。

「いつもタイミングが悪いんだよな・・・。悪い、ミア。話しを聞いて来る。」

少しして玄関のドアが開く。そして、人の声が聞こえて来た。いきなり、たくさんの情報を垂れ流しだした来客。そっと玄関を覗き込むと、線の細い青白い顔をした二十代後半の男性がいた。

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