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特級錬金術師の旦那様

第4章 歓迎されない来客


翌朝、しっかりいつの間にか眠っていた私。今朝は、背中越しに感じる人の体温。そして、視界の先には見覚えのある腕。

「うわああぁっ!!」

奇声を上げて起き上がろうとしたのだけど、それは腰に回された腕によって叶わなかった。

「朝から賑やかだな。おかしい夢でも見たのか?・・・ミア?」
「近い・・・全部が近い。」
「大丈夫か?心拍数が爆上がりしてるぞ。」
「マーフィス、近いからっ。どうしてこんな状況なの。」
「どうしてって、ミアが夜中俺に擦り寄って来たんだろう?寒かったか?」
「えっ、私から?」

振り返ると、黄金色の瞳が私を見ていた。

「ご、ごめん・・・なさい。」
「何で謝るんだよ。抱き心地良かったから問題ない。」
「だ、抱き心地っ!!?」
「ミアっていい匂いするしな。さぁ、起きるか。その前に。」

顎を掴まれれば上げさせられた顔。黄金色の瞳が近付き伏せられたと同時に、唇が重ねられた。それは直ぐに離れて、少し物足りなさを感じてしまう。

「あっ・・・。」

つい、漏れてしまった声。

「もっと、キス・・・して欲しい?」

至近距離にある黄金色の瞳が、私の心の中まで見透かそうとしている様に見えた。

「・・・ダメ?」
「ダメじゃない。じゃあ、心行くまで味合おうか。」

私は心行くまでなんて考えていなかった。まさか、朝からこんな熱烈なキスをされる羽目になるなんて思ってもみなかった。

なんて事を思っていても、私の腕はマーフィスの背に回されている。何となくだけど、大切にされていて甘やかされている様に感じる。

「んっ、まだ満足するまでは無理だけど、これ以上続けたらこれだけで終わなさそうだから。あ~、嫁が可愛くて辛い。このままベッドで先に進みたい。でも、決めた事はやらないとな。ミア、寂しいだろうけれど行って来る。」
「う、うん。あ、あの・・・。」
「うん?」
「目、閉じてくれる?」
「これでいいか?」

私は特大の勇気を出した。自ら顔を寄せ、一瞬だけマーフィスの唇を奪った。

「っ・・・ミア、今のって。」
「恥ずかしいから確認しないで。」
「可愛いな、ミアの為にも頑張って来る。」

マーフィスは朝食後、出掛けて行った。私は約束通りにお留守番だ。そして、一人だからとクローゼットへと入った。マーフィスが私の為に用意してくれた日用品や衣服が揃っている。
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