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特級錬金術師の旦那様

第2章 調味料と光る球


「そうだよな、俺のことも錬金術のことも詳しくは知らないんだよな。でも、俺はそれなりに腕はあるし何があってもミアの元に帰るから。約束する。まぁ、こうやって心配されるのは嬉しいものだけどな。ほら、泣き止んでくれ。」
「うん・・・ねぇ、採集は出来たの?」
「あぁ、大量にな。そうだ、次の予定の前に立ち寄りたい所があるんだ。付き合ってくれ。」

マーフィスの立ち寄りたい場所は、ここから半日ほどの鉱山の町だった。早速、明日には向かうとのことで今日は少し早めの就寝。就寝?

「何そこで突っ立ってんだよ。」

今、私は寝室にマーフィスといる。そう言えば、夫婦になったんだった。今更だけど思い出した。昨夜のドレス事件のことも。

「あの・・・昨日のドレスのことなんだけど。誰が着替えさせてくれたのかなって。」
「ん?俺だけど?他に誰もいないし、それに夫婦なんだからいいかなって。」

何だろう・・・マーフィスの考える夫婦の概念って。

「じ、じゃあ・・・。」
「見たよ。」

それは、真顔で真面目な声だった。

「でも、嫁とはいえ意識のないヤツに不埒な真似はしてない。それに、夫婦になったとは言え、まだお互いにこれからだと思ってる。だから、ミアが俺でいいと思える時が来ればその時に俺にミアをくれればいい。俺は歩み寄る事は止めない。ミアは?」
「マーフィスが・・・。」
「俺が?」
「紳士で格好良くて戸惑ってる。でも、ちゃんと思ってること聞けて嬉しい。私も歩み寄りたい。でも・・・私には免疫がないから、色々とヤキモキさせるかもしれないけど。」
「そんなの普通だろ。だから、変に気負うな。嫁だけど、付き合い始めたカップルの延長だと思えばいい。それに、ミアの嫌がることは絶対にしない。ミアの信頼を裏切ることもしないと約束する。ただ・・・傍にはいて欲しい。」
「分かった。」

マーフィスがいるベッドに近付き、腰を下ろした。

「キス・・・くらいはいいよな?」

小さく頷くと、何度か触れるだけのキスをした。最大限、私のことを気遣ってくれているのだろう。

それはそうと、マーフィスが採集したのは前世の真珠だった。ただ前世と違うのは、自ら淡く光っていること。綺麗だと言ったら、細工を施してブレスレットにしてプレゼントしてくれることになった。何処までも、気風が良くて優しい。
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