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D.World.

第10章 検証








主人公said




スズメの声なのか正確には分からないが
外で鳥が鳴いている声が聞こえる。

朝特有の寒さを感じながら目を開けたら

すっかり見慣れた阿笠邸の一室で眠っていたと理解した。


“今”自分に何が起きているかを頭の中で組み立てる。


沖矢さん扮する赤井さんに…ーーーー



天井を見ていた自分の身体をひっくり返し

枕に顔を埋めながら

このまま息をしなければ気絶できるのではと考えた。

部屋の戸が開く音がしたが今は顔を上げられないと思っていると

枕をぶん取られた。


「…今、“戻ろうとした”わね?」

「……」

そんな便利な話では無いのだが

体験していない彼女にどう説明すれば良いか分からず、

沈黙していると肯定していると見做されそうで、ただ頭を横に動かした。


「ったく。自業自得よ。人タラシなのは変わらないんだから。」



ーー私は私の何を叱られているのだろう。
人と分け隔て無く接して何が悪いのかーーー



ーー昨日の“実験してきてよ”程度の発言
あれの方が余程タチが悪いのではーーー







“『降谷零として貴方を好きになりました。』”



突然フラッシュバックしたその声に居た堪れなくなり耳を塞いだ。

塞いだところで無意味だと分かっていても行動に出さずに耐えられない。



「…ふふっ…」

「!」


珍しく哀ちゃんが笑い出した姿を見たくて顔を上げた。

ーー楽しそうだ。けどーーー


これは、私を“あざ笑って”いる。

不愉快なのか何なのか理解できなくなりそうだった。

「…充分、人タラシについては悶絶し、苦しんでいる。」

「起きればその前に合った出来事を思い出す癖が身に付いているものね。」


楽しそうに笑いながら話すその仕草は可愛いのに発言の内容が決して可愛く無い。


「で?どうするつもりなのかしら?」


起き上がりながら俯いて、考えようとすると

私の視界に哀ちゃんが携帯を差し出したきた。


「今朝、あの人が貴方にって渡しに来たのよ。」





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