第7章 限界
主人公said
博士の家からポアロに向かう最中
風見さんに呼び止められた。
「貴方を公安部に連れてくるようにと言われています。」
「連行されるような事はしてませんし、予定が無ければいつでも合わせられるのに。態々風見さん寄越して…。仕事増やさせて何か申し訳ない。」
「…降谷さんに頼まれる事は急な事が多いですが、絶対に無理な事は頼んでこない人ですので。大丈夫です。」
上司部下の関係性とその信頼が若くして得られている事にやはり驚くし、羨ましい。
大人しく風見さんの運転する車に乗り込む。
「あ、途中でスーパー寄って貰えます?」
咄嗟に思いついた事を口に出すと風見さんはビックリしたのか肩を振るわせた。
「か、確認をしてから…」
降谷さんとすぐ連絡を取れる様にしているのか通話を押そうとする風見さんの手を掴んだ。
「だーめ!風見さんが一緒に来てくれれば別に逃げたりしないし、時間を取らせる様なものでも無いから!」
顔が近い距離で彼を真っ直ぐ見てほんの少し怒ってみせると、観念したとばかりにわかりましたと言ってくれた。
「…怒られるような事にならないよう釘を刺しとく。」
私の発言にあまり期待はしていないのだろう。
風見さんは既に怒られるつもりでいるのか腹を括っている様子だ。
スーパーで買い物を終えて警視庁の駐車場に入ると建物の出入り口でいつから待っていたのか降谷さんの姿が見えた。
「…遅いぞかざ「給湯室!」
最後まで言い終わるよりも前に相手の不意をつく発言をする。
ビニール袋を持ち上げ、もう一度言い直す。
「給湯室貸して!」
「……ハァ」
ため息を吐かれたが、連れて行って貰えるようだ。
風見さんが怒られることも阻止出来た私は風見さんに向かって親指を立てて笑った。
一瞬目を見開いたが彼の顔は緩んでいた。
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