第27章 バベルの塔の時間
「君達は今ひどく緊張していますね。先生への狙撃を外した事で…自分達の腕に迷いを生じている。
言い訳や弱音を吐かない君達は…『あいつだったら大丈夫だろう』と勝手な信頼を押しつけられる事もあったでしょう。苦悩していても誰にも気付いてもらえない事もあったでしょう
でも大丈夫。君達はプレッシャーを1人で抱える必要は無い。
君達2人が外した時は人も銃もシャッフルして…クラス全員誰が撃つかもわからない戦術に切り替えます。ここにいる皆が訓練と失敗を経験してるから出来る戦術です。
君達の横には同じ経験を持つ仲間がいる。安心して引き金を引きなさい」
烏丸先生も、ロヴロさんも、先生も、彼らの事を常に褒めていた。私も同じ銃使いとして分かる
二人は影の努力家、万が一の先の事まで考えが行き届く人だ。私達が「大丈夫」なんて言ってもきっと説得力ないけど、みんな二人の事を信用している
腕のいいスナイパー、私達を必ず生かしてくれる指令塔。
条件は整った。さあ、勝負所だ
私は乾いた唇を舌で潤した
「出席番号12番!! 立って狙撃!!」
二発の銃声がホールに響いた
一発目は男のもの。
千葉さんと同時に出たダミー人形に穴が空いていた。つまり彼本人は無事。
なら二発目は?命中したのか?
「フ、ヘヘ」
正面の男を見ると銃は手にあるまま
「へへへ外したな、これで2人目も場所が…」
言葉は途切れた。男に釣照明が落下してくる。うしろから当たり、パイプの柱に頭を打ち付けた
「く…そが…」
震える腕で千葉さんを再び狙うが
乾いた音がもう一つ鳴った
男から銃が離れる
『速水さん!』
「ふーっ…やぁっと当たった」
男は攻撃する手段をなくし、撃たれた痛感で倒れた
「よっしゃ!! ソッコー簀巻きだぜ!!」
寺坂さんと吉田さんを先頭に皆ステージに駆け上がり男を拘束する
「肝を冷やしたぞ。よくこんな危険な戦いをやらせたな」
「どんな人間にも、殻を破って大きく成長できるチャンスが何度かあります。しかし1人ではそのチャンスを活かし切れない。集中力を引き出すような強敵や、経験を分かつ仲間達に恵まれないと。
だから私は、用意できる教師でありたい。
生徒の成長の瞬間を見逃さず、高い壁を、良い仲間を、すぐに揃えてあげたいのです」
『!』
そんな二人の先生の会話を自分に当てはめて聞いていた
