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山鳥と雛鳥

第1章 小さな雛鳥


この日は若鳥達が小鳥に集まっていた。
ようやく雛鳥の首が座ったと言うことで抱っこさせてもらえるらしい。

「そこに座れ。…ほれ、脇を閉めてから…そうそう。」

小鳥が雛鳥を預ける。

「わぁ…すごく小さい…可愛い〜!」

あまり見かけない者たちに雛鳥は少々困惑しているようにも見える。
私や小鳥を交互に目で追っていた。

私たちが抱っこをしないと察するとじんわりと顔を歪めた。

「ふぇ…んん〜!んー!」

雛鳥は体を逸らし顔を歪め、高い声を上げる。

「え、これ泣いちゃう?」

「あー安定泣かした〜。」

加州清光が大和守安定をからかった。

「あーあるじぃ〜返す!」

泣き出した雛鳥に困ったのか大和守安定は、パッと小鳥に雛鳥を渡した。

「ん?おぉ…ハハハ!びっくりしたなぁ?」

「うぅだって急にこんな大声で泣かれちゃったら…。」

小鳥に抱っこされても雛鳥は泣き止まなかった。

「えぇ…全然泣き止まない!?」

加州清光が困った顔をする。

「多分、お腹が空きだしたのかも?
ほら、ちょうどミルクの時間ですし。
泣いたから余計に。」

一期一振がそう言うと、皆もなるほどと顔を合わせた。

「私が作ってきますね。」

一期一振はそう言ってミルクを作りに行った。
しばらくして戻ってくると、小鳥の提案で粟田口の者にミルクを飲ませてみた。
乱藤四郎が雛鳥を抱っこして飲ませる。
雛鳥はコクンコクンと音を立てて飲んでいた。

「なんか、すごい飲むね。」

雛鳥は器用にミルクを飲み干した。

「そしたら、ゲップさせなきゃな。」

小鳥は雛鳥が皆と関われるのが嬉しいのか終始ニコニコしていた。

その表情はとても優しく、任務の時に見せるような血の気の多さをまるで感じさせないような…。

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