• テキストサイズ

山鳥と雛鳥

第1章 小さな雛鳥


山鳥毛視点



私が顕現されたのはつい2年ほど前のことだ。
私が目を覚ました時に目の前にいた小鳥は、私に物怖じすることなく私を見るなりいきなり笑った。

「細けぇことは分からねぇがおめぇが一族の長なら頼らさせてもらうぞ。」

不思議な雰囲気の小鳥だと思ったよ。
肩を軽く叩きすぐに私は受け入れられたからな。
既に、何振りもの刀剣男士を率いて小鳥は豪快な戦を仕掛けるほど手練てもいる。

派手なシャツに頬には傷が残っているただの審神者でないことはすぐに分かった。
それもそのはず。小鳥は現世で、【警察】とやらの仕事をも掛け持っていたからだ。


そんな彼の元にやって来て2年。
それはある日、突然やってきた。




「主さん!?それは!?」

粟田口の鳥たちがワイワイと騒いでいた。
小鳥が何かを抱えているらしい。
それに皆が群がっていた。

「小鳥、何かあったのか?」

「おう、山鳥毛!ちょうどいい、見てみろよ!」

私は小鳥に抱えられているそれを覗いた。
小さくてもぞもぞと動いている。

「つい、2週間ほど前に産まれた娘だ。
可愛いだろう?」

小鳥は嬉しそうに笑っていた。
その小さな赤子は小さくあくびをする。

「抱っこしてもいい?」

乱がそっと呟く。

「あーまだダメだ。首が座んねぇうちは
抱っこさせられねぇ…すまねぇな。」

「ふむ…小鳥の…では呼び方は雛鳥とでも呼ぼうか…」

「俺の子だから雛鳥…山鳥毛、安直すぎねぇか?」

小鳥は困ったように笑った。
その瞳でその雛鳥を慈しみ見つめていた。
/ 188ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp