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山鳥と雛鳥

第17章 恋心



私が茶屋のバイトを辞めるまで残り2ヶ月

私には1つ悩みの種が増えた。
誰かを探している感覚とは別に、きっとちょもさんの事が少しづつ好きになっている気がする。

あの人がお店に来ると嬉しくなって頑張れちゃうし、あの人とお茶しにお話してるとなんでも話せる。

不思議な人だった。

彼のことは何も知らないし、多分年齢的にも配偶者はいるだろう…

彼との連絡手段は分からない。
バイトの日にいついつどこどこで待ち合わせする。
それで行っていた。

今どきスマホでとか、年齢差的にまず二人の関係を聞かれるとか色んな問題があったけど初めてで分からない。

あれだけ誰かを探して、どんなに言い寄られても断ってきたのに恋するのは早いものかと呆れる。

「雛鳥…?」

目の前のちょもさんが不思議そうに首を傾げた。

「あ、あぁ。ごめんなさい。」

ちょもさんは優しい口調で謝る必要は無いと微笑む。
サングラスの奥すら見えない相手に恋するなんておかしいかもしれない。

でも、私は彼の作法一つ一つが丁寧で無駄がない。

そういえば、伝えなきゃと思って私が呼び出したんだ。

「ちょもさん、話ってのが…
私、春に今の茶屋を辞めることにしたんです。」

ピタッと彼の動きが止まった。

「ほう?それをどうしてまた私に?」

「まだ、内定は決まってないんですけど。
卒業したら本格的に保育士として働くので…。」

実は内定が決まってない理由は保育士の現状もあり、気持ち的な理由もあり内定を保留にしていたりした。

「そうか…。
君は何か迷っていることがあるように見えるのだが、私の気の所為かな?」

「…ちょもさんはなんでも見えてるんですね…。」

私は困って笑った。
自分の気持ちがあっちこっち行っててまとまってくれない。
想い人と目の前の男の人。
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