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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第5章 五色の夜4【光秀】



「おや、大変そうだな。果たして帰れるのか?」

光秀さんの整った顔に浮かんだ意地悪な微笑が、一瞬差し込んだ稲光に青白く照らされた。

「‥‥‥‥」

た、立てない。

腰が抜けた?

こんなの始めて‥‥。

腰が抜けたなんて、光秀さんに気付かれたくない。

「み‥‥光秀さんは‥‥怖くないんですか?」

「ああ。家屋の中にいればまず大丈夫だろう。一体なぜ怖いのだ」

「‥‥だって、こんなに凄い音‥‥」

ズガガガーン!!!
ドオォーン!!ドォーン!!

「きゃあああああぁーーーっ!!」

「いい悲鳴だ。なかなかそそるぞ、名無し」

「何言ってるんですか」

光秀さんは立ち上がってゆっくりと歩み寄り、私の側で屈み、目線を合わせた。

長い指でくいっと私の顎を上げさせる。

「恐怖に歪んだ顔は間抜けさが幾分か減り、いつもよりは綺麗に見えるものだな」

間近に迫る、光秀さんの白い顔。
整いすぎてて怖いくらいで、私は息を呑んだ。

「‥‥」

雷の恐怖

何を考えているのかわからない光秀さんの底知れない迫力。

「震えているな。腰が抜けて動けないのだろう?これでは何されても逃げられないなァ」

稲光に一瞬照らされ、光秀さんの切れ長の目が妖しく輝く。

長い指がツーッと、私の頬の輪郭を撫でる。

ぞわっと肌が粟立つ。

ズガガガーン!!!!ドォーーーン!!

「いやあぁぁぁぁっ!!!」

地響きと雷鳴にぎゅっと目をつぶった時、身体がふわりと宙に浮いた。

目を開けると光秀さんに抱え上げられていた。

「え‥‥?」

光秀さんはそのままスタスタと歩き、座椅子に座る。

膝に私を乗せたまま。

恐る恐る振り向き、光秀さんの様子を伺う。

変わらぬ表情は相変わらず読めない。

「あの‥‥‥‥重く‥‥ないですか?」

「ああ重い。潰れそうだ」

「す、すいません!」

降りようとすると光秀さんの両腕に制された。

「冗談だ。いくらなんでもそんな柔じゃない」

そしてふわりと後ろから抱きしめられる。

光秀さんの香の高貴な良いかおりが漂う。

…この状況…何…?

驚き、戸惑い、うつむいて唇を噛み締めた。

心臓がバクバクしている。

「‥‥」

「まだ震えているな。今日、お前を呼び出したのは、雷で怖がる様子を存分に楽しむためだ。今、俺は非常に楽しいぞ」

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