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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第18章 託された花1 【謙信】R18


名無しが春日山城へ来て2ヶ月。

城の人々に認めてもらおう、何とか馴染もうと懸命に努力していた。

昼は武将たちから読み書きや乗馬、各国の情勢などを習う。

空いた時間には予習と復習、女中の仕事も手伝った。

彼女の真摯な姿勢や優しい心が伝わり、次第に溶け込み認められるようになっていく。

同じ現代人である佐助は、一見気弱に見える彼女の強さを頼もしく思っていた。

だけど一つ気がかりがあった。




その日の名無しは幸村から弓の手ほどきを受けていた。

佐助がある懸念を抱きながらその様子を見ていると、信玄に声をかけられる。

「名無し、頑張ってるな」

「ええ」

白い道着に袴を履き、キリリと髪を結い上げた名無しは真剣な顔で必死に弦を引いている。

放った矢はすぐに勢いを無くし、ぽとりと落ちた。

悔しそうに唇をきゅっと結んだ表情も愛らしい。

「ひたむきな頑張りで皆に認められて、今ではこの城の花だな」

「そうですね」

二人の視線の先では、幸村が名無しの後ろから両手を支え、正しい型を教えていた。

「だが‥‥その花の芳香が日増しに強くなってる」

稽古に熱中する名無しは体温が上がり肌が火照っていく。

えもいわれぬような香りが立ち上り幸村の鼻をかすめた。

視線を落とせば、髪を結い上げたことで露になったゾクゾクするほどきめ細やかな艶肌。

「く‥‥」

幸村は弾かれたように手を放し、いきなり放たれた矢は地面に突き刺さって揺れる。

「どうしたの?」

「何でもねー‥‥」

幸村の様子を見ていた佐助は、信玄の言葉を確信した。

「‥‥俺も気になっていました」

謙信の激しい寵愛を毎夜受け続ける名無し。

彼女の色香がどんどん強くなっていた。

いつも目は潤み、白い肌には上気したような薄紅色が差し透明感を増している。

体つきも、胸や尻は丸みを帯び、柳腰がますます細く際立ってきたのが着物ごしでもわかる。

そして近づくと甘い匂いが立ちこめる。

「悪ぃ…今日は終わりだ!」

「え!‥‥あっ‥‥はい!今日もありがとうございました」
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