第15章 君の誕生日1 【佐助】
そんな感じでツボ押しが終わると、私の体は足先や指先までポカポカと温まっていた。
血行が良くなったんだろうな。
佐助くんは再びクリームを手に取り、今度は下から上へ、足先から膝の方へと手を滑らせる。
「気持ちいい…」
それにしてもこのクリーム、凄い。
マッサージを続けていても乾くことなく、ずっとなめらかに手が滑っていく。
肌もしっとり潤ってツヤツヤになってるだろうな。
部屋に漂う香の良いかおりに包まれながら絶妙なマッサージ。
あまりに心地よくて、布団にもたれて目を閉じると全身が溶けていきそうな気がする。
「佐助くん、このクリーム、マッサージにもすごく良いね。商品化しないの?絶対、売れそうだよ」
まるで研究員のように、妥協を許さず試行錯誤して作って…。
これはもう、ただのプレゼントの範疇じゃない。
商品開発だよ。
「それは無い。名無しさんの為だけに作ったものだから」
佐助くんはあっさりそう言った。
「世界で一つ、君だけのクリームだ」
「…ありがとう…」
何だか照れるな…。